テレワークが普及し、都心部に住まなくても仕事ができる環境が整ってきました。
都心から離れて市街化調整区域に家を建て、子どもをのびのびと育てたいと考える方も多いのではないでしょうか。
実際には市街化調整区域では、想定外の不便を感じたり、さまざまな制限で後悔するケースもあります。
この記事では、市街化調整区域で後悔しやすい5つの理由をご紹介します。
市街化調整区域の魅力や土地を選ぶ際のポイントについても参考にしてください。
- 市街化調整区域の土地を購入して後悔しやすい理由を解説します。
- 市街化調整区域の魅力をご紹介します。
- 市街化調整区域で後悔しないためのポイントをご紹介します。
市街化調整区域とは?魅力と落とし穴

市街化調整区域の魅力は、自然豊かな広い土地でゆとりある暮らしができることです。
市街化調整区域の購入は次のような方に向いています。
・広い土地で暮らしたい
・家のコストをできるだけ抑えたい
・自然豊かな環境で暮らしたい
ただし、家を建てるための制限が多く、都会のような利便性は期待できません。
土地を購入する前にしっかりとリサーチし、専門家へも相談することをおすすめします。
市街化調整区域で後悔しやすい5つの理由

市街化が進められる市街化区域とは違い、市街化調整区域は開発が抑えられている土地です。
事前に情報収集していなければ、広く大きな家を建てたとしても「こんなはずではなかった」と後悔しかねません。
ここでは、市街化調整区域で後悔しやすい5つの理由をご紹介します。
理由1:家が建てにくい
市街化調整区域は、原則として家を建てられない土地で、想像以上に家を建てる条件が厳しいと感じるかもしれません。
家を建てるためには、開発許可や建築許可、農地転用が必要なケースが多く、手続きや審査が複雑だからです。
役所との調整に数か月の時間がかかり、着工が遅れることも珍しくありません。
また、手続きや審査をした上で、審査に通らず後悔するケースもあります。
理由2:インフラが整っていない
都市部の宅地とは異なり、上下水道やガス、通信環境などが整っていないケースもあります。
プロパンガスのエリアも多く、浄化槽や井戸が必要な場合もあり、インフラ整備について十分な確認が必要です。
安い土地を購入できても、インフラ整備に数十万〜数百万の高額な費用がかかり後悔することもあります。
理由3:生活が不便
市街化調整区域は、小学校やスーパー、病院が近くにないケースがほとんどです。
交通の便が悪く、道路が狭い上に、街灯が少ないなど生活に不便を感じるかもしれません。
子どもの送迎や日々の買い物などの負担も考慮しておくことが大切です。
とくに、小学生のお子さんがいるご家庭では、小学校までの距離や通学路の安全性をしっかり確認しておきましょう。
理由4:資産価値が下がりやすい
市街化調整区域の土地は、将来の売却や相続も見据えて慎重に考えなければなりません。
建築制限があるため、買い手が限られ売却しにくい土地だからです。
住宅ローンの対象外であったり、土地の評価が低く、審査が通りにくいケースが多いでしょう。
将来、子どもが相続したとしても、資産価値が下がり、売却が難しくなる可能性があります。
理由5:同世代の家族が少ない
開発が抑えられている市街化調整区域は、新しい住宅や商業施設が増え、将来発展していくことが望みにくい土地です。
そのため、周囲に子育て世帯の仲間が増えにくく、地域のコミュニティが高齢者ばかりという不安もあるでしょう。
同世代の話し相手がいない、子ども同士のつながりが少ないなど孤独感を感じ後悔することがあります。
市街化調整区域の4つのメリット

市街化調整区域の土地には、都心部では得られない魅力があります。
「土地の安さ」「自然環境」「広い土地」「税金の安さ」といった4つのメリットについて参考にしてください。
メリット1:土地が安い
同じ面積でも市街化調整区域の土地は、市街化区域より圧倒的に安く手に入れられます。
エリアや交通の便によっても変わってきますが、坪単価3万円〜15万円ほどで、土地のコストを抑えることが可能です。
また、都心部よりも固定資産税も大幅に安くなるため、将来的なランニングコストも抑えられます。
メリット2:自然が豊か
市街化調整区域では、静かな自然環境の中で、スローライフを楽しめます。
周辺に住宅や商業施設が少なく、車の通行も少ないため、のびのびと子育てできる環境です。
開発が制限されており、突然近くに大きな商業施設やマンションが建つ心配もなく、長期的に周囲の景観や静かな環境が守られます。
メリット3:土地が広い
広い土地を低コストで購入でき、平屋や中庭付きの家などゆとりある間取りを実現可能です。
建物にお金をかけ、日当たりのよい自由度の高い理想の間取りづくりが楽しめます。
そのほか、複数台分の駐車スペース、家庭菜園、ドッグランなども検討できるでしょう。
ご近所の音や視線などのストレスを感じることもありません。
栃木県で家づくりを検討されている場合にはこちらもご覧ください。

メリット4:税金が安い
市街化調整区域は都市計画の対象外であるため、都市計画税が課税されません。
また、宅地化が制限されている、インフラが整っていない、利便性が低いなどから土地の評価が低いのも特徴です。
そのため、市街化調整区域は、固定資産税が安くなる傾向があります。
用途区分が「雑種地」「農地」「山林」などの場合、税率自体が異なり固定資産税が安くなります。
ただし、家を建てた場合には、宅地として課税され固定資産税が上がる可能性があるため注意が必要です。
市街化調整区域の土地を選ぶポイント

市街化調整区域の土地を選んで後悔しないためには、事前のリサーチが欠かせません。
土地を選ぶ際の3つのポイントをご紹介します。
市役所に事前に相談する
市街化調整区域の土地を選ぶ際には、まず市役所に相談することが大切です。
家を建てるために次のようなことを確認しましょう。
・既存宅地(線引き前宅地):1971年の都市計画法施行前から住宅であった土地なら比較的建築しやすい。
・開発許可:ほとんどのケースで開発許可が必要となる。許可の条件を確認する。
・農地転用:現在「農地」として登録されている場合、農地転用の手続きが必要となる。
また、誰が家を建てられるかを確認することも重要です。
市街化調整区域の住宅は、自己用住宅に限られ、投資目的での住宅は建てられません。
土地を相続した場合や、親の土地に子どもが家を建てる場合でも、条件を満たしている必要があります。
インフラ整備を確認する
市街化調整区域では、インフラの整備状況や整備にかかる費用を事前に十分確認しておかなければなりません。
都市ガスが通っていないことが多く、プロパンガスを使うケースが多くあります。
水道が通っていなければ、井戸を掘る必要があり、下水道が無い場合には浄化槽を設置しなければなりません。
リモートワークを検討されている場合には、インターネット環境も必要です。
また、家を建てるには建築基準法上の道路に2m以上接している必要があり、接道要件についても確認してください。
生活動線をシミュレーションする
実際の暮らしを事前にシミュレーションしておくことで、市街化調整区域で後悔のない家づくりができます。
まずは、平日と休日を分けて家族の暮らしを書き出し、生活動線を考えてみましょう。
生活動線をシミュレーションする際には、以下のような点を意識しましょう。
・食品や日用品の買い物動線
買い物動線のほか、生協や宅配サービスを利用できるか。
・子どもの通学・遊び場動線
通学路や遊び場への経路の交通量や明るさ。
また、実際に子どもと一緒に通学路を歩いてみる。
・通勤・交通手段の動線
自家用車での移動が基本となるため、駅までの距離や駐車スペース。
・ゴミ出し・地域活動の動線
ゴミの集積所の場所、収集日、持ち出しやすさ。
回覧板や地域の集まりなど地域の関わり方を把握する。
・災害時の動線
豪雨や雪、停電などの際の避難ルート。
井戸や非常用電源、灯油タンクの導入も検討する。
市街化調整区域で後悔のない家づくり
今回のコラムでは、市街化調整区域で家を建てて後悔しやすい理由を解説しました。
市街化調整区域は、土地の安さや自然環境の良さといった魅力があります。
その反面、制約が多く、生活に不便を感じることもあります。
家づくりで後悔しないためには、建築許可の条件やインフラ整備などを事前にしっかり確認しておかなければなりません。
十分な情報収集をし、専門家にも相談して、理想の家づくりをしてください。
木の花ホームでは、長年の建築経験と豊富な技術を活かして、住みやすい家づくりをご提案しています。
栃木に根ざし、地域に密着した家づくりをしています。
マイホームをお考えでしたら、大工が支える木の花ホームにぜひ一度お気軽にご相談ください。